音が聴こえるか、

街中にはかつて、季節の音がありました。春には春の、冬には冬を感じる音が。 生活の中にも時の音が聞こえていました。朝、昼、夕を知らせる音が。
日々の生活や仕事の合間に、私たちは音で季節や時刻を知ることができました。


時代とともに、文化の変遷や技術の発展とともに、聞こえる音が変わってきました。 街は24時間眠ることなく活動を続け、何時も同じような音が響き続けています。 昔のように、音で季節や時刻を知ることは、もう今はほとんどありません。


音の単一化に呼応するかのように言葉も単純化し、豊かな語彙をもった日本語が 若い世代では貧弱な表現と間違った解釈が横行、日常会話としていつの間にか 正当化され、終には辞典を書き換えるまでになってしまいました。
時代の変化と捉えればそれまで。でも、世界有数の美しい言語文化を培ってきた この国は、またしても大事な何かを置き去りにしようとしている気がします。


進化と便利の中から生まれた新しい価値を享受しつつも、安易な判断や行動を 今一度踏みとどまり、変化の兆しを聞き逃さない緻密で正確な聴力を養うことが これからを生き抜く重要な力の一つと考えます。


月を聴き、風を見る。


かたちには必ず音があります、また音もそこからイメージできるかたちを持ってい ます。心の深いところにある感性を研ぎ澄ませ、時代を変える音に今まで以上に 耳を傾け、新しい年をスタートさせたいと思います。

明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
2013年1月1日
株式会社 イーストビューアルファ