私たちは、2011年に二つの大きなことを学びました。
それは、諦めなくてはいけないものと、諦めてはいけないことです。
3月に東北地方を襲った大地震は、想定を遥かに超える津波によって、数多くの生命と生活を奪い去り
未だに多くの人々が避難生活を続けたままです。一部では、長年住み慣れた海辺の土地を諦め、安全な
高台での新たな街づくり計画が始まろうとしています。
原発事故に起因する全国的な電力不足は、現代の産業と生活基盤の脆さと危うさを露呈させました。
その是非には慎重な議論が必要ですが、平和利用への研究開発は続けても、安易に頼り切ってきた
政策、行政、そして日々の電力消費習慣には諦めなくてはいけない部分もあると感じます。
しかし、暗い話題だけではありませんでした。
なでしこジャパンは設立から30年の歴史を経てワールドカップで優勝、来年のオリンピックでのさらなる
活躍に日本中の期待がかかります。僅か10年前には予選で1勝もできなかった弱小チームは、諦める
ことなく地道な努力と練習を積み重ね、ついに世界の頂点に立ちました。
また、映画にもなったJAXAの小惑星探査機「はやぶさ」は、燃料漏れ、エンジン停止などの数々のアクシ
デントに見舞われ、一時は音信不通になるも管制スタッフが諦めずに探し続け、はやぶさからの微弱電波を
捉え2010年に地球への帰還を果たし、昨年発表されたサンプルの分析結果に世界が注目しています。
どちらも諦めることなく最後まで希望を捨てなかったことの大切さを教えています。
諦める。 それは明日に向かう勇気ある転換。
諦めない。 その先で掴むのは希望と未来。
私たちは、どちらも新しい日本を創るプラスのベクトルと捉え、新年をスタートさせたいと思います。